古都パタンの両替で受けた廃貨混入と再両替拒否の二重トラップ
旅行情報
あなたの旅行先の国名・都市名
ネパール、パタン(ラリトプル)
あなたが旅行に行った年月
2026年4月
あなたが旅行に行った回数
4回目
あなたの年齢、性別、職業
35歳、男性、アウトドア用品店長
一緒に旅行に行った人の人数
単独
トラブル体験をした場所
パタンのダルバール広場近くにある路地のツアーデスク兼両替ブース
トラブル内容
念願だったヒマラヤのトレッキングと、カトマンズ盆地に残る中世の美しい仏教・ヒンドゥー寺院群を巡るため、ネパールへ一人旅に出ました。古都パタンのダルバール広場に足を踏み入れると、赤レンガの寺院が幾重にも立ち並び、夕暮れの空の下に広がる人々の穏やかな賑わいは息を呑むほど幻想的でした。
山岳地帯のロッジやポーターへのチップ、入山許可証の手数料はクレジットカードが一切使えず、すべて現金決済が基本となります。そのため、まとまったネパール・ルピー(NPR)の現金を手元に用意する必要がありました。広場の路地裏を歩いていたところ、トレッキングの手配や案内板を出している小さな旅行会社のブースがあり、店頭に「MONEY EXCHANGE」と掲げられていたため、そこで日本円の10万円分を一括でネパール・ルピーへ外貨両替することにしました。これが、後に出国すら危うくする深刻なトラブルへと発展するとは夢にも思っていませんでした。
狭いブースの奥に座る店員に日本円の1万円札10枚を渡すと、電卓でレートを弾き、分厚い紙幣の束をドンとカウンターに出してきました。ネパール・ルピーは最高額面でも1,000ルピー(当時のレートで約1,100円)であるため、10万円分を両替すると100枚近い大量の札束になります。店員は目の前で数台の札束を軽くパラパラと弾いて見せ、「トレッキング頑張ってね」とフレンドリーに紙幣を輪ゴムで束ねて渡してくれました。
私が「両替の証明書をください」と頼むと、店員は「この手書きのレシートで十分だ。ネパールではどこでも通用するから心配ない」と笑いながら簡易的なメモ書きのような伝票をよこしました。旅の準備に追われていた私は、その言葉を信じて財布とセキュリティポーチに現金をしまい込んでしまいました。
しかし、トレッキングへ向かう山間部の村で最初の悪夢が起きました。現地の小さなロッジで宿泊費と食事代を支払おうとお札を出したところ、宿の主人が険しい顔をして紙幣を突き返してきたのです。「このお札は受け取れない。これはネパールのお札ではなく、インドの旧紙幣だ!」と言われました。
慌てて札束を一枚ずつ調べ直したところ、なんと束の真ん中あたりに、かつてインド政府の突然の廃貨政策で無効化され流通停止になったはずの「旧500インドルピー札」が何枚も紛れ込んでいたのです。ネパールではインド・ルピーが非公式に流通することもありますが、高額インド紙幣の所持や使用はネパール国内の法律で厳格に禁止されています。悪質な両替商が、処分に困った無価値な禁止紙幣を、札束の厚みの中に隠して観光客に押し付けていたのでした。使えない紙幣が混ざっていたことで山中での資金がショート寸前になり、予定していたルートを急遽切り上げて下山せざるを得なくなりました。
さらに最悪な結末が、帰国当日のトリブバン国際空港で待っていました。手元に残った数万円分の正規のネパール・ルピーを日本円や米ドルに戻そうと空港の公式銀行窓口へ並び、外貨両替を依頼した時のことです。窓口の行員から「公的な外貨売買証明書(Encashment Certificate)を提示してください」と求められました。
パタンの両替ブースでもらった手書きのメモを見せたところ、行員は即座に首を横に振り、「これは政府公認の銀行や両替所が発行した正式な証明書ではない。ネパールでは公的な証明書がなければ、ルピーから外貨への再両替は法律で一切認められない」と冷たく拒否されました。ネパール・ルピーは国外への持ち出しが禁止されているローカル通貨のため、再両替ができない現地通貨はただの紙切れ同然になってしまいます。
さらに手荷物検査の際、ポーチに残っていたあの旧インドルピー札が見つかり、別室で違法紙幣の持ち込みについて警察官から厳しく尋問される事態にまで発展しました。必死の事情説明により没収だけで解放されたものの、精神的にも金銭的にも甚大な被害を受けました。
ネパールで外貨両替を行う際は、町中の小さなツアー会社や闇両替には絶対に手を出さず、ネパール中央銀行の認可を受けた正規の銀行窓口を利用するべきでした。そして、出国時に余った通貨を再両替するために不可欠な公的証明書(Encashment Certificate)を必ずその場で発行してもらい、手渡された紙幣に異国の通貨や禁止紙幣が紛れていないか、束の内側まで一枚一枚入念に点検するべきだったと痛恨の思いで振り返っています。
トラブルに巻き込まれないためにするべきだった行動
街中の無認可ツアーデスクでの両替は避け、中央銀行公認の正規窓口や空港の銀行を利用するべきでした。また、出国時の再両替に絶対必要な公的証明書(Encashment Certificate)を必ず発行させ、手渡された紙幣の束はすべてその場で解き、使用不能な旧インド紙幣や破れ紙幣が混入していないか自らの手で一枚ずつ確認するべきでした。





































