普段暮らしている日本とは歴史も文化も異なる世界の国々への旅行は、新しい刺激に溢れていますよね。そんな中でも気をつけたいのが海外旅行中の体調管理です。海外では文化だけではなく病気などの種類も日本とは異なる部分が多いので、免疫のない菌に侵されるリスクも高まります。今回は元気で海外の魅力を堪能するために、海外旅行に向けた健康管理のお話をしていきましょう。

海外旅行出発前にしておくべき健康管理の基本

海外旅行だけではなく、海外留学生や仕事で海外赴任している人も含めて日本を出る前に必ずやっておきたい事柄があります。それは「渡航前健康診断」と「海外予防接種」の2つです。これらは仕事で海外赴任などの場合には企業の責任において必須項目になりますが、海外旅行の場合、旅行先よって異なりますが必須ではありません。ですが少しでも不安に思うのであれば、海外旅行中の健康管理として受けておくと安心度は大きく高まります。

渡航前健康診断

渡航前健康診断は、渡航前と帰国後の健康診断が義務付けられている海外赴任や6ヶ月以上の長期滞在と、海外旅行ではその内容が異なります。本コラムは海外旅行者向けではありますが、海外に行く際の健康診断全体の知識として覚えておくといいでしょう。渡航健康診断はあちこちの病院で受けられるので、最寄りの病院で実施の有無を確認しておきましょう。

海外旅行の健康診断

ある程度の長期滞在を伴う海外旅行であるなら渡航前健康診断を推奨します。さらに短期の海外旅行であっても、出発前に体調が少しでも悪かったり体に気になる部分があるなら受けることをおすすめします。診断によってその原因がわかる、または医者から健康のお墨付きをもらうことで精神的な不安がなくなり、メンタル的な部分の健康にも役立ちます。

【短期海外旅行】いちばん手軽に受けられる健康診断なので“念のため”という感覚で気軽に受けておくと安心です。

※診断項目
医者による包括的な健康チェックとして、肝機能/血糖値/血算/腎機能などの基本的検査を行います。

※ワクチン接種
日本脳炎/黄熱病/A型、B型肝炎/麻しん/狂犬病などのワクチン接種を検討、必要に応じて接種をする。

※証明書を取得
渡航先の医療事情に応じた証明書を取得します。これは旅行保険の適用にも役立ちます。

※予防接種
過去の予防接種記録を基にして適切なワクチンを接種するかどうかを判断。これらの準備で渡航先での健康リスクを大きく減少できることになります。。

【中、長期海外旅行】短期とは異なりしっかりとした診断を行うのでなるべく早く受けることをおすすめします。海外での感染症や環境変化に耐えられる健康状態かを確認、さらに慢性疾患があれば状況をチェックして薬の持参計画を立てます。実施時期としては渡航の2~3ヶ月前が理想。これは異常があったときの再検査や治療の時間を確保するためで、最短でも1か月前には受けることが大切です。1週間くらいの旅行を目安にしてしっかりとした健康診断を受けるといいでしょう。

※診断項目
身長体重をはじめとして、血圧/胸部X線/肝機能/血液検査/心電図/尿検査など、基本的には国内の定期健康診断と同じ内容の検査を行います。
さらに渡航先に応じて、腹部超音波や胃の内視鏡/肝炎、麻しんなどの抗体検査、帰国後には寄生虫検査を行う場合があります。

※ワクチン接種
渡航先によって、黄熱/A型、B型肝炎/日本脳炎/インフルエンザなどのワクチンを接種します。

※診断書、証明書を取得
予防接種証明書や感染症陰性証明書などを取得します。作成には1週間以上かかることが多いので、渡航日から余裕をもった日数で受けるようにしましょう。

【海外赴任、6ヶ月以上の海外滞在】仕事上においての海外赴任や6ヶ月以上の長期海外滞在の場合、“労働安全衛生規則第45条の2”によって、渡航前と帰国後の健康診断が義務付けられています。これは企業側が、渡航者に対して健康診断を受けさせる義務があるということです。

※診断項目
一般健康診断に準じた法定11項目、身長体重から血圧/肝機能/血中脂質/血糖値/胸部X線/心電図などを行い、必要に応じて追加検査もします。さらに歯科検診や、異国での長期に渡る生活におけるメンタルヘルスの確認も重要です。海外の長期滞在ということで、渡航前健康診断は単なる法的義務ではなく、現地での健康リスク管理や安全配慮の観点からとても重要となります。

渡航前の予防接種

健康診断と共に、海外渡航の際に必要となる健康管理方法がワクチンの接種、いわゆる予防接種です。海外旅行者の予防接種には主に2つの側面があります。ひとつは入国時に予防接種が必要となる国や地域に入るため、もうひとつは海外で感染症にかからないように自分の体を守るため、ということです。

【予防接種証明書を要求される国や地域ため】感染症が流行している国や地域に入国する際や、それらの流行国から別の国に入国、乗り継ぐときに予防接種証明書の提示を義務付けている国もあります。これらの場合には、予防接種をしていないと現地の空港で入国拒否されることになります。また、現地の病院で面会のときなどでも予防接種証明書を要求されることもあります。

【感染症から自分の体を守り、周囲への二次感染を防ぐため】海外では、国によって日本にはない病気が発生しています。さらに、日本にいるときより感染リスクの高い病気もあります。予防接種によって防げる病気は限られてはいますが、接種によって重症化などのリスクを下げることができます。万が一のためにも、必要となる予防接種は受けておくべきといえます。

【予防接種はその内容を理解してから受ける】海外旅行に必要となる予防接種は、渡航先や渡航機関、渡航形態、接種を受ける人の年齢や健康状態、予防接種歴などによって変わってきます。事前に渡航先の感染症情報を収集すると共に、その予防接種について理解した上で医師とよく相談をして、接種を受けるかどうかの判断をすることが重要です。

【予防接種は早めに受けることが大切】予防接種は種類によっては間隔を空けて2~3回受ける必要がある場合もあります。これを考えてなるべく早く、出発の3ヶ月以上前から渡航外来の医療機関を探して接種するワクチンの種類や接種日程の相談をしておくと安心できます。

予防接種で予防ができる病気

予防接種を受けることで予防できる主な病気を掲載します。各病気のさらに詳しい情報を知りたい場合には、以下の厚生労働省公式サイトを確認して下さい。

厚生労働省検疫所FORTH
https://www.forth.go.jp/news/index.html

【接種で予防できる主な病名】黄熱/A型肝炎/B型肝炎/ポリオ/狂犬病/日本脳炎/髄膜炎菌/麻しん風しん/破傷風/インフルエンザ/ダニ媒介脳炎/腸チフスなど

海外旅行者の健康を守るための組織

最後に、旅行医学の様々な情報を掲載している「日本旅行医学会」についてのお話しです。
この組織では、「旅行医学」イコール「人の移動の安全と快適性を高める医学」という定義のもと、海外旅行や海外留学、海外赴任などの安全と快適性のための情報や科学的根拠のある旅行医学情報などを発信しています。海外のみならず旅行が趣味な人などは、一度ホーページを覗いてみるといいかもしれません。

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日本旅行医学会とは