今回のコラムは少し趣を変えて、大きく変わった日本の自転車を取り巻く状況をからめながら世界の国々の自転車事情を紹介していこうと思います。自転車大国といわれてきた中国はもちろん、特にヨーロッパなどの自転車に対する環境にうらやましくなることでしょう!

日本は自転車大国の中国、ヨーロッパに続けるか?

2026年4月の道路交通法改正によって、日本では自転車に関する取り締まりが強化されました。これによって自転車を使って道路を走ることのハードルがとても高くなってしまったことは否めません。自転車にまつわる事故が多発したことを受けての改正ではありますが、逆に安全に気軽に自転車に乗ることが難しくなってしまったともいえそうです。

【ママチャリ大国の日本】日本の自転車事情の大きな特徴のひとつとして、ママチャリがあります。海外ではスポーツバイクが多いですが、日本では独自の進化を続けるママチャリの存在はとても大きく、その安全性や乗りやすさから親子や高齢者までが日常生活の足として活用しています。

【日本の道路事情】特に狭い路地が多い都市部では、自転車は最強の移動手段です。ママチャリや電動アシスト式自転車などの普及率は世界でもトップクラス。ただし、特に都市部で問題になっていたのが狭い路地での事故率の増加で、ここ数年の交通法違反による事故の現状から改正されたのが自転車の道路交通法です。自転車は歩道ではなく車道を走るのが大原則となったことをはじめとして、自転車の交通違反に関して青切符を導入、100を超える項目で取り締まりが行われています。日本の道路事情を考えると、この改正によって怖くて自転車に乗れなくなったという声も多く、この先の日本の自転車事情を注意深く見守る必要があります。
そんな日本の自転車事情とは異なる、自転車がかかせない利用者には天国のような国々がヨーロッパにあるのです!

海外の自転車大国、その自転車事情

世界には自転車大国といわれる国々が多々あります。まずはその中でも特に自転車に関する環境の改善に力を入れている国々のポイントを紹介しましょう。

自転車大国はヨーロッパがダントツ!

【オランダ/世界一の自転車大国】自転車の台数の方が人口よりも多い! といわれるのがオランダです。今や車より自転車が優先される文化が根付いていて、自転車専用の高速道路や信号を完備、アムステルダムの巨大な立体駐輪場はもはや観光名所です。

【デンマーク/都市設計から自転車ファースト】オランダと双璧をなす自転車大国のデンマーク。コペンハーゲンは、“コペンハーゲナイズ”という言葉があるほど都市設計の段階から自転車中心に造られました。スーツ姿のビジネスパーソンから子どもを乗せたカーゴバイクまでが街中を自由に走る姿は、もはや日常風景となっています。

【ドイツ/独自の環境を生かしたサイクリングルート】鉄道に自転車をそのまま持ち込むスタイルが定着しているのがドイツです。環境意識が高いことから“サイクルツーリズム”が盛んであり、川沿いや古城を巡ることができるサイクリング専用ルートが数千キロにも及んで整備されています。

【フランス/エッフェル塔をバックにサイクリストが走る】数年間で最も変化したといえるのがフランスのパリ。2020年に市長主導で始まった“15分都市構想”によって車道を廃止、自転車レーンにする工事が始まりました。これは徒歩や自転車で、15分以内に生活に必要な全ての施設にアクセスできる都市を目指すという壮大な計画でした。

【スウェーデン/サステナブルな自転車利用を実現】スウェーデンもまた、自転車大国の一角といえます。特に安全性に対する意識がとても高く、子どものヘルメット着用や反射材の使用などが徹底されています。また、雪が多いことから雪道でも滑らないスパイクタイヤ付の自転車が一般的であり、1年を通しての自転車移動を可能にしています。

【ベルギー/自転車レースの聖地として】世界最高峰のロードレースが開催される聖地であるベルギーにとって、自転車は文化でありスポーツなのです。このことから週末になると市民たちがプロ顔負けの装備で石畳の坂を攻めまくります。国技ともいえる自転車を愛するその熱量は世界で1番といえるでしょう。

【中国/シェアサイクルで自転車王国復活】かつて自転車大国といわれた中国も、テクノロジーの力でその称号を戻しています。スマホを使ってどこででも自転車が借りられる「シェアサイクル」が爆発的に普及しました。借りた自転車の乗り捨てができる利便性の高さもあって、現在では普通に利用されている自転車の乗り方となっています。

【アメリカ/全米随一の自転車コミュニティ都市】現在でも圧倒的な車社会であるアメリカの中で、ポートランドは異彩を放つ自転車社会を実現しています。自転車通勤者の割合がとても高く、自転車を愛する人が多いことでパレードやイベントが頻繁に開催されていて、コミュニティとしての結束が高いのがポイントです。

ヨーロッパ全土を網羅するユーロヴェロとは?

ここからは自転車好きにはたまらないヨーロッパの自転車道ユーロヴェロのお話し。
ユーロヴェロ(EuroVelo)とは、ヨーロッパ自転車連盟が推奨する全欧自転車道路網のことで、ヨーロッパ全土を長距離ルートで繋ぐプロジェクトのこと。全長約9万kmが計画されていて、2023年の時点で6万km以上が供用されています。

【ユーロヴェロの目的】最大の目的は、より多くの人に車より自転車を推奨すること。この道で大陸横断することも可能ではあるけれど、地元で短い距離を自転車で走るパターンがほとんどだといいます。長距離のサイクリングから日常生活での自転車利用に使われているユーロヴェロは、未完成である現時点でその目的を達成しているといえるでしょう。

【ユーロヴェロの開発】ユーロヴェロの開発は欧州全域であり、国単位、地域、地方自治体、NGOによって行われていて、国際的地位にすることで建設に対する資金面や政治的な支援を得られやすくしています。まさに全欧を挙げての一大プロジェクトです。

【ユーロヴェロのルート】
※南北ルート
EV1、大西洋岸ルート/ノールカップ~サグレス/8.186km
EV3、ピルグリム・ルート/トロンハイム~サンディアゴ・デ・コンポステーラ/5.122km
EV5、フランチジェナ・ローマ街道/ロンドン~ローマ~ブリンディシ/3.900km
EV7、ザ・サン・ルート/ノールカップ~マルタ/7.305km
EV9、バルト海からアドリア海(アンバー・ルート)/グダニスク~プーラ/1.930km
EV11、東欧ルート/ノールカップ~アテネ/5.984km
EV13、鉄のカーテントレイル/キルケネス~ツァレヴォ/9.000km

※東西ルート
EV2、キャピタルズルート/ゴールウェイ~モスクワ/5.500km
EV4、中欧ルート/ロズコフ~キエフ/4.000km
EV6、リバーズ・ルート/大西洋岸~ナント~コンスタンツァ/4.448km
EV8、地中海ルート/カディス~アテネ~キプロス/5.888km
EV10、バルト海環状ルート(ハンザ・サーキット)/7.980km
EV12、北海環状ルート/5.932km

ユーロヴェロは、海外に自転車ツーリング旅行に行くなら一度は走ってみたい夢の自転車道といえます。その際に最低限気をつけたいこととしては、
※体調をしっかりと整えておく
※天候の変化などに備えた衣服の用意
※基本的な薬(風邪薬、胃腸薬、シップ、絆創膏等)の持参
※飲料水はペットボトル(軟水推奨)を持参
などを覚えておきましょう。
また、旅行会社のヨーロッパ・サイクリング・ツアーのコースもユーロヴェロに沿ったルートになっているパターンがあるので、参加してみるのもいいでしょう。