このように自国通貨安政策はあらゆる弊害があることは確かなのですが、自国の貿易産業にとっては追い風となります。例えば日本が自動車を生産して海外へ販売していることを考えますと、完成された自動車は海外のお客さんつまり貿易相手国からみると、100万円の自動車だとしても1ドル=90円の円高時には11,111ドルが必要でしたが、1ドル=100円の円安時は10,000ドルで購入できます。
日本企業の視点で考えますと1ドル=90円の円高時に自動車を10,000ドルで販売したら900,000円にしかなりませんが、1ドル=100円の円安時に10,000ドルで販売すれば1,000,000円の販売価格になり、円高時に比べて1割も売り上げが増えます。この原理によって日本の自動車産業は海外への販売が大きく伸びることが期待できます。また、現在までに内部留保した外貨建ての海外資産などの評価が高くなることを意味しますので、海外企業など多くの外貨建て資産を保有している企業の財務状況が良好になり、企業業績がアップすることになります。日本円が安いので海外企業などが日本企業の買収を持ちかけることの機会が増え、さらにはそのような企業はM&Aつまり買収の案件がちらつくとそれを見据えた国内投資家からも株式市場を通じて優良銘柄として投資を呼びこむことが起こり株価が伸びる現象が起こりえるでしょう。国家にとっても国際事業を手掛けている邦人企業の業績が上がることに伴い多くの法人税収入が期待でき、国家財政の健全化が期待できます。