旅行情報

あなたの旅行先の国名・都市名

クウェート、クウェートシティ

あなたが旅行に行った年月

2024年3月

あなたが旅行に行った回数

20回目

あなたの年齢、性別、職業

29歳、男、営業職

一緒に旅行に行った人の人数

単独

トラブル体験をした場所

クウェート市内、スーク・ムバラキヤ(伝統市場)内の両替所と周辺の商店

トラブル内容

「世界にはまだ見ぬ景色がある!」そんな情熱に突き動かされて、記念すべき20回目の海外旅行に選んだのは、中東の秘境にして超リッチな国、クウェートでした。これまでにアジアの混沌もヨーロッパの洗練も経験してきた自負があった私は、「両替なんてどこも一緒、数字の桁さえ気をつければ余裕!」と完全に高を括っていたのです。しかし、そんな私の「旅慣れた自信」は、クウェートに足を踏み入れた瞬間に粉々に打ち砕かれることになりました。
クウェートに降り立ち、まずは軍資金を確保するために空港から直行したのが、活気あふれる伝統市場「スーク・ムバラキヤ」です。スパイスの香りとアラビアンな喧騒に包まれ、私のテンションは爆上がり。ここで今回の旅の相棒となる現地通貨「クウェート・ディナール(KWD)」を手に入れようと、目に入った両替所に飛び込みました。
ここからが私の「やらかし」の始まりです。窓口に日本円の5万円を叩きつけました。心の中では「さあ、いくらの札束が返ってくるんだ?数万ディナールか?」と、これまでのインフレ通貨国での経験を元に、分厚い財布の準備をしていました。ところが、窓口から差し出されたのは、たった数枚の、なんとも頼りない紙幣の束。
「……は?これだけ?」
あまりの少なさに、私は窓口のスタッフを問い詰めました。「おい、計算間違ってないか?5万円だぞ?」と。スタッフは鼻で笑いながら、電卓の数字を指差しました。そこには「103」という、驚くほど小さな数字。
なんと、クウェート・ディナールは世界で最も価値が高い通貨だったのです。1ディナールが日本円で約500円近く(当時)。つまり5万円を両替しても、100ちょっとの数字にしかならない。この「数字が小さくなる」という現象が、私の脳を完全にバグらせました。
さらに私を混乱させたのが、クウェート独自の「小数点の罠」です。普通の国は小数点以下が2桁ですが、クウェートは3桁。つまり「1.000ディナール」が基本単位で、その下には「1000フィルス」という単位が存在します。しかも、紙幣には「1/4ディナール」や「1/2ディナール」という、分数表記の変な札まで混じっている始末。
「なんだよ、この中途半端なお札は!おもちゃかよ!」
と、心の中で悪態をつきながら、私は適当に財布にお札を放り込みました。この時の私は、まだ自分がどれほど恐ろしい状況にいるか分かっていなかったのです。
両替後、気が大きくなった私はスークで買い物三昧。「あ、このアラビアンな香水瓶、カッコいい!」「お、この刺繍入りの布、お土産にいいじゃん!」と次々に手に取ります。値札には「15.000」とか「20.500」といった数字。私のバグった脳は、これを見て「あ、15円くらいか、安いな!」とか「20円?激安じゃん!」と勝手に変換してしまったのです。
実際は15ディナール=約7,500円。20ディナール=約10,000円。とんでもない高級品です。なのに、手に持っている紙幣の数字が「5」とか「10」とあまりに小さいため、まるで10円玉や100円玉を扱っているような感覚で、ポンポンと支払ってしまいました。
極めつけは、スークの片隅で食べたケバブです。「お会計は3.500だよ」と言われ、私は「なんだ、3.5円か」と勘違いし、財布から「20」と書かれた札を「お釣りはいらないぜ!」と言わんばかりのドヤ顔で渡してしまいました。20ディナール、つまり1万円です。1700円のケバブを食べて、8000円以上のチップを払った計算になります。
店主は目を丸くして、「アッラーよ!お前はなんて素晴らしい男だ!」と熱烈な握手を求めてきました。私はその時まで、「自分はなんて現地の人に愛されるカリスマ旅行者なんだ」と自惚れていたのです。
全ての真実に気付いたのは、その日の夜、ホテルのベッドで家計簿アプリに数字を入力した瞬間でした。
「……待て。今日の出費、合計で8万円超えてる……だと……?」
一瞬、血の気が引きました。5万円しか両替していないはずなのに、クレジットカードも併用していたせいで、とんでもない金額を溶かしていたのです。
「やらかしたー!!クウェート・ディナール、恐ろしすぎるだろ!!」
夜の静かなホテルに、私の絶叫が響き渡りました。数字の小ささに騙され、小数点の位置を無視し、分数の紙幣を小銭扱いした結果、私は一日で一ヶ月分のお小遣いを使い果たしてしまったのです。
でも、立ち直りが早いのが私の長所。
「いいさ!俺は今日、クウェートの経済を一人で回したんだ!あのケバブ屋のおじさんの笑顔は、8000円以上の価値があったはずだ!」
と、無理やり自分を納得させました。これこそが外貨両替の、そして海外旅行の醍醐味(という名の事故)です。
最強通貨トラブルでその洗礼を受け、私はまた一つ、大人の階段を登りました。クウェートに行く皆さん、いいですか、数字が小さいからって、それは決して「安い」わけじゃないんです。むしろ「恐ろしく高い」んです。あの小数点の向こう側には、深淵が広がっていますよ!

トラブルに巻き込まれないためにするべきだった行動

世界最強通貨であることを肝に銘じ、両替時には必ず日本円での換算レートを脳に叩き込むべきでした。特に「0.500」や「0.250」といった小数点の表記や分数の紙幣を甘く見ず、支払う前に「これは日本円で◯◯円だ」と指差し確認するくらいの慎重さを持つべきでした。また、自分の金銭感覚がバグっていることを自覚し、大きな買い物をする前には必ず電卓アプリで円換算する癖をつけるべきだったと猛省しています。