島国である日本とは異なり、海外の大きな大陸を走る鉄道は様々な景色を楽しめる絶好の交通機関です。
国によって、小さな町中から海、山の壮大な大自然の中を走る列車まで、日本とは異なる絶景をゆっくりと堪能できます。

あくせくと移動する海外旅行はちょっと…という人は、列車で楽しむ海外旅行を考えてみるのもいいと思います。

海外で鉄道を利用する時のポイント

1、列車の種類

海外の鉄道は、主に「短距離列車」「中距離列車」「長距離列車」の3種類に分けられます。

短距離列車

通勤通学やプライベートの外出時に利用する日常的な列車。

中距離列車

ある程度の距離を移動し、約3時間以上、6時間以内くらい乗車する列車。

長距離列車

遠距離区間を結ぶ列車で、数時間、大陸横断列車などでは1日以上乗車することもある。

この中で、本コラムでは「中距離列車」「長距離列車」をメインに紹介していきます。

2、列車のクラス

日本の中長距離列車同様に、海外の列車にも座席にクラスがあります。

一等車(一等座席)

スペースが広く取られているのでゆったりと過ごせるのがポイント。
色々なアメニティや飲食のサービスが受けられます。それなりに料金は高くなりますが、現地での富裕層の利用が多いので、安全性も高いと言えるでしょう。

二等車(二等座席)

座席の間隔が狭く、受けられるサービスにも限りがありますが、リーズナブルな料金で利用できるのがポイントです。

個室

長時間乗ることになる中長距離列車では、個室のある列車も珍しくはありません。
通常の座席と違いプライベート空間で過ごせるのが最大のポイントで、受けられるサービスもいちばん充実しています。利用料金もいちばん高額にはなりますが、複数人数で列車の旅をするならオススメです。

3、景色以外にも列車内を楽しむ

車窓から海外ならではの景色を楽しめるのが列車の旅の最大の特徴ですが、それ以外に列車内で過ごす時間を楽しむことも重要です。
列車の場合、バスなどとは違って車内を自由に歩けるので、他の乗客の迷惑にならないように車内見学をしてみるのもいいでしょう。食堂車があるなら、一度はそこで食事をしてみるのがオススメです。

さらに他の外国人の乗客とコミュニケーションが取れるのも列車の旅のメリット。勇気を出して話しかけてはどうでしょう?

列車の旅をする時に知っておきたいことの基本

チケットの取り方

現在、各国の列車のチケットは、日本の旅行系サイトで取ることができます。
もちろん現地で行き先を決めならチケットを取ることもできますが、ある程度海外慣れしていないと、購入場所やチケットの種類を選ぶ時などで苦労するかもしれません。

安全に確実に列車のチケットを買うなら、日本で購入しておく方が無難でしょう。
行き先を含めて、まずはインターネットでチェックしてみましょう。

荷物の置き方

国にもよりますが一般的に車内に荷物置き場があるので、貴重品以外の大きな荷物はそこに置けばOKです。もし荷物置き場がない場合には、自分の席に置くことになりますが、2等座席だと置くスペースが狭いので注意が必要です。

用意しておきたいアイテム

特に必要なアイテムとしては、スマホなどを充電するためのモバイルバッテリーでしょう。一等座席なら各席にコンセントがある場合がほとんどですが、二等座席になると共有のコンセントになります。
長距離列車のほとんどで無料WiFiが利用できるので、充電アイテムは必須です。

また、個室以外の座席だと同じ姿勢で長距離乗っていることで首や肩に疲労が溜りやすくなります。ネックピローなど身体をリラックスさせるアイテムもあると便利です。

国境を越える列車での入国審査は?

ヨーロッパなどでは車内で国境を越えるのも醍醐味のひとつ。この時には入国審査が必要ですが、だいたいが乗務員にパスポートとチケットを渡して手続き完了となります。
大げさに考える必要はないですが、すぐに取り出せるように持っているようにしましょう。

ヨーロッパなら周遊券が断然お得

列車の旅にオススメなのが、自由に途中下車できる周遊券です。
ヨーロッパでは、現在33ヶ国で乗り降りができる“ユーレイルグローバルパス”をはじめ、様々な周遊券があります。
自分の旅行日程に見合ったものをネットでチェックして購入しておきましょう。

出発時間通りとは限らないことを覚えておく

列車に限らず、日本の交通機関では出発時間が1分1秒でも遅れると大変な事になりますが、海外では出発時間通りに走る方が珍しい場合もあります。だからといって遅れて列車に乗るのも不安なもの。
ここは、出発予定時間には列車に乗っておいて、走り出すまでの時間を余裕を持って楽しむのがベストです。

確実に絶景が堪能できる、世界のオススメ鉄道

スイス/グレーシャー、エクスプレス

ツェルマットからサンモリッツ間を走るグレーシャー、エクスプレスは氷河特急と訳されていて、約300kmの距離を約8時間で走ります。
特急といいながら、鈍行よりも遅い速度で走るの大きな特徴で、その分、景色をまったりと楽しむことができます。
スイスアルプスを横断するこの列車では、スイスならではの壮大で美しい山々を車窓から堪能できるのが大きなポイントです。

スイス/ゴールデンパスライン

グレーシャー、エクスプレスと並ぶ、スイスのオススメ列車は、3つの鉄道会社の路線を繋いでいるゴールデンルートです。
3つの路線を繋ぎながら、ルツェルンからモントルー間の約200km、約5時間半の列車の旅となります。
ゴールデンパスラインでは、スイスの美しい風景だけではなく、国鉄ブリューニク線×レッチベルク鉄道×モントルー、オーベルラン、ベルノア鉄道という3社の列車を乗り継ぐことが特徴で、それぞれ異なる列車が楽しめます。鉄道ファンにはたまらないルートと言えるでしょう。

ロシア/シベリア鉄道

鉄道ファンではなくても、一度はその名前を聞いたことがあるはずのシベリア鉄道。
世界最長と言われるこの鉄道では、ウラジオストックからモスクワまでの約9000kmを約1週間かけて走っています。
長期間かけてユーラシア大陸を横断するシベリア鉄道では、広大な自然と、アジアやヨーロッパの影響を受けた街並みの景色などが堪能できます。
さらに列車内では、現地の人たちとの交流もできるでしょう。
シベリア鉄道は、プライベートがしっかりと確保できる個室での乗車がオススメです。

南アフリカ/ロボスレイル豪華列車

世界でいちばん豪華な列車と言われるロボスレイル豪華列車。
南アフリカのプレトリアを中心に、ケープタウンなどを回る路線を走っています
列車内の至る所にはさまざまな工夫が凝らされていて、車内を観るだけでも楽しく豪華な気分が味わえます。
アフリカならではの景色も独特の雰囲気の絶景です。

エジプト/ナイル、エクスプレス

カイロとルクソール、アスワンなどを結ぶ寝台列車のナイル、エクスプレス。
出発が夜、到着が翌朝の寝台列車で、充実した車内設備で快適な一夜を過ごせます。
異国情緒溢れる街並みや駅でのひとときは格別で、一生の思い出になることは間違いありません。

ヨーロッパ/オリエント、エクスプレス

その昔、ヨーロッパの一時代を築いた世界的に有名な列車であるオリエント、エクスプレス。映画などの舞台にもなるほどの列車ですが、現在、唯一走っているのがベニス、シンプロン、オリエント、エクスプレスです。
ロンドン~パリ~ベニス間の運行から始まったオリエント、エクスプレスは、現在ではベニス~フィレンツェ~ローマ間やウィーン、ブタペスト行きが運行されています。

誕生当時の雰囲気を残したクラシカルな車両と超豪華な列車内を満喫しつつ、ヨーロッパの美しい街並みと大自然が流れていく車窓に目を奪われることでしょう。

アメリカ/アムトラック長距離列車コーストスターライト号

大陸横断鉄道のアムトラック長距離列車。その中でもシアトルからロサンゼルス間の片道約2000kmを約35時間で走行しているのがコーストスターライト号です。
飛行機だと約3時間のこの距離を、35時間かけて移動するこの贅沢さは、海外旅行ならではの旅路になるでしょう。
出発地から終点までの間にはさまざまな駅に停車するので、途中下車するなら普通席やビジネス席、終点まで乗るなら寝台で、と上手く使い分けることで快適に列車の旅を楽しめるでしょう。