人々がどこかへ行く際に使う移動手段としてあるのが、列車や車を使う“陸路”、航空機を使う“空路”、船舶を使う“海路”があります。本コラムではこれまでに世界の「列車の駅」や「空港」を紹介してきましたが、今回は「世界の港や港町」にスポットを当ててみたいと思います。列車の駅や空港と比べると、ちょっとなじみの薄い感じの港ですが、そこには独特の魅力があるんです!

歴史と新しさが融合している、港の魅力とは?

移動や輸送の手段として最も古くから重宝されていたのが船舶を使った海路でした。航空機による空路どころか、まだ車や列車の陸路でさえ整備されていなくて不便だった時代から、一度に大量の人や物資を運べる海路は人類の社会や経済にとってなくてはならない重要な存在でした。そんな海路の重要な拠点となるのが港、いわゆる港湾です。

世界経済において、港は現在でも重要な拠点

港湾とは、船舶が安全に停泊して物資や人々の乗り降りができるようにするための施設であり、今現在でも世界中の貿易を行なうために必要不可欠な拠点となっています。そして港がどれくらいの物資を扱っているかによって、その国が世界の経済の中でどの程度の地位を占めているかを測ることができます。

港の規模はコンテナの輸送量で決まる

港の規模は物資を運ぶコンテナの輸送量(TEU)で決まり、それによってランキング付けされます。TEUとは“Twenty-foot Equivalent Unit”の略で、“20フィートコンテナ換算”のこと。コンテナ船の積載量やコンテナターミナルの貨物取扱量などを示すために使う単位です。ちなみにランキングでは、「上海港/中国」「シンガポール港/シンガポール」「深圳港/中国」「香港港/中国」などがありアジアの港が上位を占めています。

今だからこそ行きたい世界の港

港が大きければ大きいほど人の流れと物資の量も多くなり、それに対応するために施設の内容も充実していくのでその魅力も大きくなります。世界経済の重要拠点である港に人が集まり、発展したのが港町です。そこには古くからの歴史と最新技術を駆使した施設が融合した魅力があります。時間に追われる日々を過ごす現在、特に海外などの遠方への移動には航空機が主流ですが、そんな現代だからこそ、時間をかけてのんびりした船旅を楽しみたいところです。海の風景を見るだけでも気分が変わるのが港です。世界の海と共に、その国ならではの充実した施設を堪能できるのもポイントです。

海外旅行でおすすめしたい世界の港湾

ここまで経済を担う存在としての港のお話をしましたが、観光地としての魅力に溢れる大きい港湾は多々あります。チャンスがあればぜひ行ってみて下さい。

海路を使った海外旅行の3つのポイント

船舶で港から港への海路を使った海外旅行には3つのポイントがあります。どれも海路ならではの魅力なので、存分に堪能したいですね!

※航行中の船内を楽しむ!
目的の国などによっては、利用する船舶の大きさや種類が異なってきますし、船舶の種類を選ぶことができる場合もあります。豪華客船なら当然のことながら、船舶の種類によって航行中に色々な施設を楽しむことができます。予算と相談しながら、乗ってみたい船舶を選ぶといいでしょう。

※海の風景を楽しむ!
港から見る海の風景は、どこでも同じように思えますが、国や地域、港の規模や施設によってその雰囲気は変わってきます。さらに船上から見られる、見渡す限り一面が海というのも日常生活では見られない貴重な風景です。旅先ならではの海の景色を思いっきり楽しみましょう。また時間帯によって海が見せてくれる風景は劇的に変わってくることも覚えておきましょう。

※港湾の施設を楽しむ!
港自体はもとより、隣接するさまざまな施設で楽しめるのも港湾の魅力です。駅や空港とは異なる港湾ならではの施設では、食事はもちろん、すぐそばが海という利点を活かしたポイントはたくさんあります。お金に余裕があるなら、海が近い豪華なホテルで贅沢に過ごすのもおすすめですね。

海が近い世界の港湾でおすすめの場所は?

世界の港湾から、観光地として海外旅行におすすめしたい場所をピックアップ! 旅行計画の参考にして下さいね。

【マルセイユ/フランス】フランスを代表する第3の都市マルセイユは、ヨーロッパで最初に開かれた旧港です。19世紀頃までは貿易の中心として栄えていましたが、現在では小型専用のヨットハーバーとして有名です。中央にあるベルジュ埠頭では、新鮮な魚介類が並ぶマーケットが定期的に開かれていて地元民にも大人気。雑貨系の店もあるので、現地ならではのお土産選びには最適です。さらに旧港にある大観覧車からの美しい景色は必見です。

【シドニー/オーストラリア】オーストラリア南東部のタスマン海に面するシドニー。世界3大美港のひとつであるシドニー湾では、一日を通して極上の美風景を体験できます。港湾の施設からの眺めもいいですが、船に乗って水上から見るのもおすすめ。特にオペラハウスの造型の美しさは絶景です。また、近隣に建つオーストラリア近代美術館も忘れずに訪れたいところです。館内無料で世界のモダン・アートなどが見放題です。

【チンクエ・テッレ/イタリア】イタリア北西部のリグリア海岸に面した世界遺産のチンクエ・テッレには“5つの土地”という意味があります。港の周辺に色鮮やかな建物が建つ漁村「ヴェルナッツア」、5つの中では最も小さい村ながら絶景が望めるハイキングコースのある「コルニリア」、シャケトラ博物館で有名な「マナローラ」、交通の便が良く駅前からビーチが拡がるリゾート地「モンテロッソ・アル・マーレ」、5つの中でいちばん大きな町で東の玄関である「リオマッジョーレ」と、どの地域も観光旅行としての魅力に溢れています。

【クレタ島/ギリシャ】ギリシャの南端に位置するエーゲ海最大の島がクレタ島です。ギシリャ文明発祥の地でもあるこの島では、エーゲ海の海の絶景と美しい山脈が融合した景色がポイントです。クレタ島にはビーチリゾートとしての魅力だけではなく、ベネチア時代の面影が残る美しい町のハニアや、青銅時代の最大の遺跡であるクノッソス宮殿跡などがあります。島内を丸ごと楽しめるので、数日をかけて散策するのがいいでしょう。

【モントレー/アメリカ】アメリカ・サンフランシスコの南に位置するモントレーは、世界的なジャズ・フェスティバルで有名ですが、それだけではなく太平洋の絶景を眺められる自然豊かな町でもあります。モントレーのフィッシャーマンズワーフはこじんまりした雰囲気でゆったりとお散歩できます。そして最大の魅力はホエールウオッチングです。ウオッチングの船は年間を通して出ているので、気軽に利用することができます。さらにここでの定番、クラムチャウダーも味わいたいですね!

【ビクトリアハーバー/香港】100万ドルの夜景で有名な香港ですが、香港島のハーバーフロントにはビクトリアハーバーを一望できるホテル“ハーバーグランド香港”があります。九龍島側と香港島側の両方が望める場所にある5つ星ホテルであり、最上階から眺める景色は、まさにもうひとつの100万ドルの景色です。また、香港スカイラインを違った角度から眺められる展望スポットの“sky100香港展望台”もおすすめ。ここは香港で最高層のビル、国際商業センターの100階にある展望台で、香港の町とビクトリアハーバーのパノラマを360度で楽しめます。

【ポンフー(澎湖)/台湾】台湾海峡にある離島ポンフーは台湾でいちばん漁業が盛んな地域ですが、中でもワイアンは最大規模の漁村として栄えています。大きな漁港が拡がる風景の中で、漁業に勤しむ地元の人たちの日常が垣間見られます。また、村を少し離れて丘の上からワイアンを見下ろすと、そこには美しい漁村としての姿を見ることができます。