海外旅行に行くときに、文化の違いや独自のマナーについては事前に調べることが多いと思いますが、忘れがちなものに交通ルールがあります。現地でつい、いつも通りの運転や歩き方をするのは実はとても危険だし迷惑になります。今回は、最低限覚えておきたい海外での交通ルールについてお話ししましょう。

海外で交通事故やトラブルに遭わないために…

代表的な交通ルールの違い

まずは日本と海外の代表的な交通ルールの違いです。車を運転するときはもちろん、歩行時や自転車に乗っている際にも大きく関係してくる代表的な違いを覚えておきましょう。

※ポイント1/右側と左側通行の違い
交通ルールの中でいちばん大きなポイントとなるのは、“右と左のどっち側通行か?”だと思います。日本と同じような左側通行はイギリスやオーストラリアなど限られた国のみで、アメリカやヨーロッパ諸国、中国などほとんどの国では右側通行となっています。そうなると車は左ハンドルで、右左折などの細かい交通ルールも変わってきます。日本の左側通行とは運転の感覚が大きく異なるので、初めて右側通行で運転するときには充分な注意が必要です。

※ポイント2/信号機の違い
海外では信号機も日本と違う部分が多いです。特にイギリスは日本と同じ左側通行ではありますが、信号機は横型ではなくすべてが縦型です。そして信号機の点灯する順番も異なります。日本の信号機は“青色→黄色→赤色→青色”と点灯しますが、イギリスでは“赤色→黄色→青色→黄色→赤色”と点灯します。ポイントは赤色の後にも黄色が点灯することで、これはもうすぐ青色に変わるので発進準備をしなさい、という意味なのです。また、海外では信号が青色に変わる瞬間に発進すると交通違反になる場合もあるので気をつけましょう。

※ポイント3/制限速度の違い
日本の制限速度は、場所に関わらず30km/hから50km/hの道路が多く、高速道路では最高速度100km/hと定められています。海外の場合だと、都市部と郊外など場所によって制限速度が違い、人の多い都市では低い制限速度、人の少ない郊外では制限速度も上がってきます。さらに高速道路では100km/hオーバーの国も多く、あまり低い速度で走ると逆に交通違反になる場合もあります。

※ポイント4/標識の違い
交通標識も日本では見られない珍しい物があります。標識自体の形も丸や三角形、四角形、六角形と様々で、色もそれぞれで異なるので、旅行先の国の標識はひととおり確認しておくと安心できます。そして海外では国によって日本では見られない珍しい意味の交通標識も存在します。

世界の交通ルールあれこれ

ここからは海外旅行先として有名な国を中心に世界の交通ルールを紹介していきましょう。日本とは違う様々なルールがあるので、知識として、さらにその国に行ったときの参考として下さい。現地の交通ルールを守って、安心して旅行を楽しみましょう!

【踏切で「一時停止」はNG/各国】踏切で一時停止しないと交通違反になるのが日本ですが、海外でのスタンダートとしては、踏切で一時停止はしてはいけません。日本の感覚で一時停止すると、後続車から追突される恐れもあるので要注意です。

【赤信号でも右折が可能/アメリカ】日本では前方の信号が赤色だと、特例標識がない限りどの方向だろうと進めませんが、アメリカでは右折のみ進むことができます。逆に右折ラインで赤信号で止まっているとクラクションを鳴らされることも…。

【スクールバスの乗降中は必ず停車する/アメリカ】スクールバスが道路で乗降中に出す“STOP”マークが出ていたら、後続車は最低25フィート(約7m)の間隔を開けて止まる必要があります。これは対向車線にスクールバスが停車していても同じです。

【路上駐車は合法/ヨーロッパ各国】
市街地で路上駐車がいっぱいなのがヨーロッパ。でも駐車違反ではなく立派な合法行為です。これは道路の端に車を停めること前提に街がつくられているから。広い国ならではの特権といえそうです。

【速度無制限の高速道路/ドイツ】世界的に有名なドイツの高速道路“アウトバーン”は速度無制限。推奨速度130km/hというのはありますが、200km/hだろうが300km/hだろうが自由です。ただし、速度規制区間も存在します。

【ドアロックはかけてはいけない/ドイツ】法律ではなく常識として、ドイツでは車の内部からドアロックをかけてはいけません。前後席共にシートベルト着用が義務であり、これで外に放り出されることがないと判断。事故の際に外からの救出をしやすくするための常識となっています。

【前座席にはカーナビ以外禁止/フランス】フランスでは、走行中に運転手が見られる範囲にカーナビ以外のディスプレイを設置することが禁じられています。このことから、日本のようなDVDやTV搭載型のカーナビはNGとなります。この法律を破ると重めの違反罰則が科せられます。

【地元の人もビビる? 円形交差点/フランス】パリの凱旋門にある円形交差点はとても運転が難しいといわれています。これは3本以上の道路を、円形のスペースを介して接続した交差点で、ロータリーから出る車は外側車線走行、ロータリー内に留まる車は内側車線走行という交通ルールになっています。この円形交差点では凱旋門を中心に複数の放射状道路があり、交通量も多い難所です。地元の人でも交差点突破にはコツが必要なくらいなので、観光者ドライバーは入らない方が無難です。

【反対車線を活用した渋滞対策/タイ】タイの首都バンコクで大きな問題となっているのが渋滞。その対策として、複数車線の道路では一時的に反対車線の一部を逆に走れるようにして渋滞緩和を行なっています。朝の通勤ラッシュなどで渋滞が激しい都心方向の車線を増やすこの方法、日本では考えられませんね。

【左折専用の矢印信号に要注意/韓国】アメリカなどと同様に右側通行の韓国では、赤信号で右折可能ですが、もうひとつ特徴的なのが信号機に左折専用の矢印信号があることです。普通の青信号では左折禁止、この左折専用の矢印信号が点灯したときのみ左折することができます。日本の感覚で青信号を考えると事故に遭う可能性もあるので気をつけましょう。

【自転車は自転車専用レーンを走る/中国】自転車王国である中国では歩道や車道を自転車で走ることは違法で、自転車は自転車専用レーンを走ります。ただし場所によっては歩道や車道と専用レーンの境界が解りづらい場合もあるので、観光で自転車に乗るときには要チェックです。

【歩行者や自転車に厳しい交通ルール/中国】中国では車だけではなく、歩行者や自転車に対して厳しい交通ルールがあります。まず、12歳以下の子どもは自転車で公道を走ることはできません。次に歩行者が歩道以外を歩くと即罰金です。また、複数車線の大型道路では、車の一時停止禁止の区間が多くあります。日本人からするとやり過ぎな感もありますが、交通事故を防ぐためのルールなので参考にすべき部分もあるかもしれませんね。

【海外の珍しい交通標識】最後に海外の珍しい交通標識をほんの一部ですがご紹介。どれも個性的な標識でその国ならではの特徴があります。
※国境を超える踏切/ドイツ
大陸のヨーロッパならでは!
※スノーモービル走行車線/フィンランド
雪の多い北欧では当たり前?
※警官の標識/イタリア
犯罪防止の意味がありそう
※遊泳禁止、ワニ注意/オーストラリア
まるで映画に出てきそうな標識
※ヒッチハイク禁止/南アフリカ
凶悪犯罪が多い国での旅行者向け?
※山間部郵便専用道路/スイス
日本でも山間部にはありそう…
※風に弱い車両通行不可/香港
箱型の車は通れないのかも?