海外旅行の楽しみのひとつのショッピング。現地でしか買えない商品や、日本では高いブランド品なども安価で購入できたりします。ここで知っておきたいのが、海外旅行先でショッピングをした時に購入金額の一部が戻ってくる免税(タックスフリー/TAX FREE)という制度です。この免税制度の内容をきちんと知っていれば、お得にショッピングを楽しめるでしょう。

免税とはいったい何なのか?

そもそも免税とは“課せられた税金を免除する”という意味です。海外でショッピングをすると、国によって約3%から20%もの税金が課せられますが、この中には海外旅行者が負担する必要のない税金も含まれています。この分を還付してもらうための手続きが、免税手続きなのです。

国によって違う、税率や免税手続き内容

当然のことながら、税率は各国によって異なります。同様に免税の条件や手続き内容も異なります。特にEU加盟国ではショッピングの時に付加価値税(VAT)として約20%ほどの額が内税として加算されています。そして海外旅行者のために、世界37ヵ国で免税手続きをすることが出来ます。

EU内

免税による還付が受けられる国は主に、
・イギリス
・イタリア
・オーストリア
・オランダ
・スウェーデン
・スペイン
・デンマーク
・ドイツ
・フィンランド
・フランス
・ベルギー
・ポーランド
・ポルトガル

その他

・オーストラリア
・カナダ
・韓国
・シンガポール
などでです。

また、アメリカの場合は税金が各州によって定められていることもあり、EU加盟国のように国での海外旅行者に対する還付制度というものがありません。州によっては免税のあるところもありますが、基本的には免税はないと思った方がいいでしょう。ニューヨーク州やカリフォルニア州にも免税制度がないのは残念ですよね。

免税と関税の違い

ここで免税と関税の違いをお話ししておきましょう。

免税

免税とは、外国において現地の国の税金が免除されることをいい、基本的に免税手続きによって行なわれます。
ちなみに、日本の空港内だとしても出国後(手続きの後)は外国と見なされるので、出国ロビーのショップでは免税品を購入することが出来ます。

関税

関税とは、外国で購入した商品を日本国内に持ち込む際にかかる税金のことをいいます。また、関税ではそれが免税品であるか否かにかかわらず、その商品の金額に応じてかかってきます。

免税品を購入できる場所と免税の条件

免税品は、一般的には「TAX FREE SHOPPING」や「PREMIER tax free」、「TAX REFUND」などの表示があるショップで購入することが出来ます。
また、空港内などにある免税店ではすでに免税されている価格で商品を販売しているので、余計な手続きをする必要はありません。こういった免税店では、その土地ならでは人気商品やブランド品なども取り扱っているので便利なことは間違いないのですが、「もっと現地ならではの物を…」と考えているなら、その国のショップで購入する方がいいでしょう。

そして免税となるための条件としては、「最低購入額以上の商品をショッピングした時」となります。この時には、1店舗での商品の購入金額を合算することも出来ます。要するに、大きな金額の商品を1点でも、少額の商品を複数点でも、最低金額を超えていれば問題ないということになります。
この最低購入金額は国によって異なるので、事前に海外旅行先の免税条件をチェックしておくといいでしょう。
ただし、ホテルの宿泊代やレストランなどでの飲食代など、現地で消費するものに関しては免税は適用されません。

免税手続きの手順

基本的な免税手続きは以下の通りです。各ショップが加盟している税金の払い戻しサービス会社によっては若干内容が異なる場合もありますが、基本的には同じ手順と思っていいでしょう。

ステップ1、ショップで免税書類を発行して貰う

前述した「TAX FREE」のマークがあるショップで、その国の免税最低額以上の商品を購入したら、パスポートを提示して“免税書類”を発行して貰い、レシートと共に受け取る。

ポイント

免税書類を貰うにはパスポートは必須です。安全面も考えて、パスポートは常に持っていましょう。

ステップ2、空港の税関で免税書類にスタンプを押して貰う

その国の空港で出国する時に、税関で未使用の購入商品・レシート・パスポート・航空券を提示して、免税書類にスタンプ(輸出承認印)を押して貰う。

ポイント

税関では、免税書類に記載された名前の本人が手続きをする必要があります。そして税関はかなり混雑することもあるので、時間的に余裕を持って行くことも大切です。

ステップ3、免税書類を提出して還付金額を受け取る

税関でスタンプを貰った免税書類を最寄りの払い戻しカウンターに持って行って申請する。払い戻し方法を現金やクレジットカード、小切手などの中から選択して免税書類を提出。

ポイント

申請する期限は国によって違うので、なるべく早めに申請した方が無難でしょう。
また、税金の払い戻しサービス会社の最大手である“グローバル・ブルー/Global Blue”の加盟店であれば、現金の払い戻しはカウンターのある国の通貨で支払われることになるので、成田国際空港などの専用カウンターで申請すれば日本円での払い戻しも可能です。

免税の注意点

購入した商品をきちんと免税するには基本的な注意点があります。この注意点を忘れずにおくことも大切です。

商品は購入後すぐには使わない

空港にある免税店で購入した商品であれば、その場ですぐに開けて使うことが出来ますが、街のショップなどで購入した商品は使うことは出来ません。というより商品を開けること自体がNGです。免税価格で買えるショップの場合、商品を封印されて開けられないようになっていたり、購入した商品は空港でしか受け取れないようになっています。

万が一、街のショップで購入した商品を出国前に開けてしまうと、免税を受けることが出来なくなってしまうので要注意です。

免税範囲

日本に免税商品を持ち込む場合には、免税の範囲が法律で決められています。この範囲を超えてしまうと、前述した関税がかかってしまいます。せっかく免税で安く手に入れたのに、免税範囲を超えたことを知らないで日本に帰国すると、余計な税金がかかって免税の意味があまりなくなってしまいます。
海外で免税商品を買う前に、関税がかからない範囲を覚えておくようにしましょう。

主な免税範囲

・酒類
3本まで(1本760mlのもの)

・たばこ
「紙巻きたばこ」のみ
400本まで

「加熱式たばこ」のみ
個装等20個まで(1箱当たりは紙巻きたばこ20本に相当する量)

「葉巻たばこ」のみ
100本まで

「その他」
500gまで

・香水
2オンスまで(1オンス約28ml)

その他の商品
・海外市価の合計が20万円まで
(合計金額が20万円を超える場合には、20万円以内の商品が免税、残りの商品に課税)
・1個で20万円を超える商品はその全額に課税

さらに詳しい詳細は、税関の公式サイトを参照して下さい。

税関 海外旅行者の免税範囲
http://www.customs.go.jp/kaigairyoko/menzei.htm