海外旅行に必要なビザと取得方法とは

海外に行く時に必須なものはパスポートですが、国によってはもうひとつ必要なものがあります。 それがビザ(査証)です。

パスポートに関しては他コラムで紹介していますので、今回はビザとは何か? 取得するにはどうすればいいのか? について紹介していきましょう。

ビザとは?

ビザとは、簡単にいえば“入国許可証”のことをいいます。 パスポートは“国籍身分を示す証明書”なので、パスポートとビザの両方があって、はじめて正式に各国に入ることが出来るのです。 ですが、日本では「ビザが無くても入国できる」協定を結んでいる国が多くあります。その数は180ヶ国(2018年現在)にものぼり、大抵の国にはパスポートだけで行くことが出来ます。 とはいえ、ビザがないと入国できない国もあるので、そういう国に行く時のためにも、ビザの知識はあったほうがいいでしょう。 一般の人ではあまりないことだと思いますが、もしビザが必要な国にビザなしで入国すると、不法入国者として逮捕されたり強制送還されることになります。

ビザの種類

ビザには「観光ビザ」「就労ビザ」「学生ビザ」などいくつもの種類があり、目的に応じて取得しなくてはなりません。 そしてビザは1度取得したからといって永久に使えるものではありません。ビザそのものの有効期間と滞在可能日数があり、国や目的によってそれぞれ異なってきます。

本コラムのメインの目的である海外旅行の場合には「ツーリスト(観光)ビザ」か「トランジット(通過)ビザ」のどちらかが必要で、基本的な滞在可能日数は「ツーリストビザ」で約1ヶ月から3ヶ月、「トランジットビザ」なら約1週間から2週間となっています。 旅行に行く国によっては思っていたりより短かいかもしれないので、事前にチェックしておくと安心です。

ビザがなくても海外旅行ができる国

それでは、ビザがなくても海外旅行に行けるのは、どのような国があるでしょうか? 日本人に人気なのは主に以下の国々です。 ただし、各国の諸事情によって変わる場合もありますので、海外旅行に行く前に、各国大使館や領事館で確認して下さい。

【ビザがなくても入国出来る国と滞在可能日数】
※イギリス/滞在可能日数・6ヵ月以内
※カナダ/滞在可能日数・6ヵ月以内
※ギリシャ/滞在可能日数・3ヵ月以内
※ニュージーランド/滞在可能日数・3ヵ月以内
※フィリピン/滞在可能日数・30日以内
※ベトナム/滞在可能日数・15日以内
※香港/滞在可能日数・3ヵ月以内
※韓国/滞在可能日数・30日以内
※中国/滞在可能日数・15日以内

上記以外の人気国ではアメリカやオーストラリアがありますが、この両国ではビザは不要ですが、代わりに「電子渡航証明書」が必要となります。

「電子渡航証明書」ESTAとETAS

「電子渡航証明書」は、アメリカではESTA(エスタ・Electronic System for Travel Authorization)、オーストラリアではETAS(イータス・Electric Travel Authority System)と呼ばれ、それぞれにインターネットから申請して料金を支払うことで取得することが出来ます。 ビザもインターネットで申請が出来ますが、ビザよりも手間のかからないのがポイントといえるでしょう。

ビザ&「電子渡航証明書(ESTA・ETAS)」の取得の流れ

それでは、ビザと「電子渡航証明書」の取得の流れを紹介しましょう。

ビザ申請時に必要なもの

査証申請書(ビザフォーム)

各大使館・領事館で入手

パスポート

有効期限内(6ヵ月以上)のもの、余白などにシール貼り付けやメモ、イタズラ書きは厳禁

写真1枚

パスポートサイズ(縦4.5cm×横3.5cm)が主で、国によって異なる場合あり

査証料

申請時、または受領時に支払う

その他の必要書類

海外旅行ではあまりないが、往復の航空券や乗船券、予防接種証明書、費用の支払い能力を証明できるものなどを要求される場合もあり

ビザ取得の流れ

1、ビザ申請に必要なものを揃える(査証申請書以外)

ここでの注意はパスポート。申請中はパスポートを大使館などに預けることになるので、念のためにコピーを取っておくといいでしょう。

2、海外旅行先の国の大使館や領事館に行って申請する

大使館でなどで査証申請書を貰って記入、持参したものと一緒に提出します。 ちなみに、ツアーなどでは、旅行会社で手続きをしてくれる場合も多いので、聞いてみましょう。

3、指定の日にビザを取得する

ビザの取得日数も国によって違い、即日発給の場合もあれば1週間ほどかかることもあるので、余裕を持って申請に行った方が無難です。 また、査証料も国によって異なってくることも覚えておいて下さい。

電子渡航証明書(ESTA・ETAS)

「電子渡航証明書」では、ESTAもETASも共にインターネットで両国の公式サイトにアクセスして申請することになります。

ESTA/アメリカ

アメリカ公式サイトで必要事項を入力、最大で約72時間で認証されます。 手数料はひとりあたり14アメリカドル。支払いはクレジットカード限定です。

ESTA公式サイト
https://esta.cbp.dhs.gov/esta/application.html?execution=e1s1

ETAS/オーストラリア

オーストラリア公式サイトで必要事項を入力、すぐに認証されます。ただし、約12時間ほど保留されることもあります。 手数料はひとりあたり20オーストラリアドルで、支払いはESTAと同様にクレジットカード限定です。

https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/visit-canada/eta/apply-ja.html

「電子渡航証明書」はその名の通り、登録後は両国の移民局のホストコンピューターに情報が保存されます。 また、申請のやり方が解らない場合には、旅行会社やESTA、ETAS申請代理サイトなどに頼むといいでしょう。 ただし、その分手数料がかかってきます。

特殊なビザの申請方法

観光ビザは日本で取得しておくのが通常ですが、第三国や現地で取得する方法もあります。 日本で申請するのがいちばん確実で安心なのですが、知識として覚えておきましょう。

第三国で取得する

ビザなしでも一定の期間入国できる国なら、ビザを取得しないで入国、滞在可能日数が切れる前に隣国などに出国して、そこで観光ビザを取得するか、あるいは目的の国に入国する前に第三国へ寄って観光ビザを取得する取る方法です。

この方法だと日本で申請するよりも必要書類などが少なく、費用も安く抑えられることもあります。 ただし、第三国の言葉を話せることが必要ですし、その国の大使館の場所や開館日などを事前に調べる必要があります。 初心者向きではなく、海外に慣れた人向きの方法といえるでしょう。

現地で取得する

国によっては、現地の空港などでビザを取得できる場合もあります。 ラクといえばラクですが、この場合だと滞在可能日数が短くなってしまうことが多いでしょう。

まとめ

ビザなしで旅行できるということは、その旅行者の属する国にあらゆる面での信用がある、ということになります。 イギリスのコンサルティング会社「henley&Partners」がまとめたデータに、ビザ制限指数というものがあります。これは、ビザなしで入国できる国の数をまとめたもので、2018年度版では、日本はシンガポールと並んで第1位になりました。 昨年度では4位5位だった両国ですが、5年連続で1位だったドイツをついに追い抜かしました。 これは、日本人が他のどの国の人間よりもビザなしで多くの国に行けるということなのです。

順位を少しだけ紹介すると、
1位・180ヶ国/日本・シンガポール
2位・179ヶ国/ドイツ
3位・178ヶ国/フランス・イタリー・スペイン・デンマーク・フィンランド・スウェーデン・韓国
4位・177ヶ国/ポルトガル・オーストリア・イギリス・ノルウェー・ルクセンブルグ・オランダ
5位・176ヶ国/カナダ・スイス・リーランド・アメリカ合衆国

となっています。 それだけ日本の信用が上がっている、ともいえるのです。 その恩恵を受けて、日本人としてビザなしで海外旅行を楽しんじゃいましょう。

外務省のサイトでは、大使館や領事館の連絡先と場所が解るリストが掲載されています。ビザなどの取得時に参考にして下さい。

外務省サイト「在外公館リスト」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/