海外旅行先の国での移動手段は、鉄道やバス、タクシーなど様々です。
その中でも、タクシーは割高だし国によっては危険度が高い可能性もあります。
そうなると主に鉄道かバスか、ということになりますが、観光旅行での移動距離や場所、乗車場所の解りやすさを考えると、鉄道の利用頻度は高くなります。

特に広大な土地が陸続きになっているヨーロッパでは、鉄道の利用なくしての移動は考えられません。そこで登場するのが、鉄道パスなのです。

鉄道パスとは?

ヨーロッパでは鉄道網はかなり発達していて、大都会から田舎までの移動はほとんど鉄道を使ってすることになります。
また、多くの国が陸続きで隣接していることもあり、鉄道で国境を越えることも珍しくありません。
日本では味わうことの出来ない長距離の鉄道旅行を体験できるのが、ヨーロッパへの海外旅行の魅力でもあり、電車の中で現地の人たちと触れ合えるのも楽しみのひとつ。
そんな鉄道旅行をお得に楽しむためにあるのが、鉄道パスです。

鉄道パスは観光客専門の周遊券

鉄道パスは日本で言うところの「青春18キップ」や「大人の休日倶楽部パス」と同じようなもので、ヨーロッパではエリア居住者以外の観光客向けに発売されている鉄道周遊券です。決められた期限内であれば、電車を自由に利用出来るのが最大の魅力なのです。

鉄道パスのメリット

鉄道パスの基本的なメリットは、国鉄または民営化、株式会社化された代表的な鉄道会社の鉄道路線で利用出来ることです。
鉄道パスには乗車料金と特急料金が含まれているので、乗車の都度キップを買う手間が省けて、料金的にもお得になっています。

ただし、全席指定の電車や包括運賃チケットで利用する電車、夜行列車の個室&簡易寝台などを利用するには別途料金が必要になってきます。

鉄道パスの種類

鉄道パスの2つの基本タイプ

海外旅行の日程や行きたい場所などによって、2つのタイプから選べるのが、鉄道パスの基本的な特徴です。

連続利用タイプ

連続利用タイプは利用開始日から15日間や1ヵ月間の期間で区切られていて、その間は電車に乗り放題なので、毎日電車に乗りたい、車窓を楽しみたい、という人には最適です。
また、このタイプは、以下の鉄道パスの種類のみで選ぶことが出来ます。

・ヨーロッパ21ヵ国で使えるユーレイルグローバルパス
・スイスで利用できるスイスパス
・イギリスで利用できるブリットレイルパス
・イギリスで利用できるブリットレイル・イングランドパス

フレキシータイプ

連続利用タイプで選べる種類以外のほとんどはこのフレキシータイプとなり、利用開始日から1ヵ月や2ヵ月間の有効期限内で電車に乗る利用日を選ぶことが出来ます。
例えば5日間分の場合だと、飛び飛びの日にちでも連続の日にちでも、有効期限内であれば5日間の利用が出来ると言うことです。

フレキシータイプは、電車に乗ること自体には重きを置かずに、日程によって目的地に移動したい人向けと言えるでしょう。

鉄道パスの種類

使い方によって選ぶことが出来る鉄道パス。ヨーロッパだけでも50種類以上のパスがありますが、海外旅行の内容によってセレクトすることでより便利にお得に電車に乗ることが出来るでしょう。

3ヵ国以上周遊型鉄道パス

3ヵ国以上の海外旅行を予定しているのなら、以下の周遊型の鉄道パスがオススメです。

「ユーレイルグローバルパス」
ヨーロッパ28ヵ国の鉄道路線で利用可能。期間は10日間から最大3ヵ月までの設定が出来るので、長期滞在の海外旅行には最適です。

「ユーレイルセレクトパス」
鉄道や航路で繋がっている隣接する4ヵ国の電車を利用できて、適用範囲は25ヵ国。
電車での移動日が10日間以内で、4ヵ国を巡るのであればこのパスです。

2ヵ国型鉄道パス

2ヵ国間の海外旅行にオススメの種類。

「ユーレイル2ヵ国セレクトパス」
国別に「ユーレイルフランス-イタリアパス」や「ユーレイルオーストラリア-ドイツパス」などがあり、有効期限2ヵ月間で電車に乗る利用日を選ぶフレキシータイプの鉄道パスです。

エリア型鉄道パス

移動する国のエリアを選んで利用できるのがエリア型鉄道パスです。

「ヨーロピアンイーストパス」
中欧4ヵ国で利用できます。

「ユーレイルスカンジナビアパス」
北欧4ヵ国で利用できます。

「バルカンフレキシーパス」
バルカン半島のエリアで利用できます。

1ヵ国型鉄道パス

1ヵ国の海外旅行であれば、国別の鉄道パスがオススメ。
フランスやスイスでは、2ヵ国型や周遊型のユーレイル系鉄道パスよりも便利でお得です。
1ヵ国型鉄道パスだと、フランスでは国内移動に欠かせないTGVも、空席があるなら「フランスレイルパス」用の割引運賃が適用されますし、ミラノやバルセロナ方面の国際TGVの割引率も高いです。
また、スイスでは鉄道の他にも国内のポストバスやトラム、市内バスの都市公共交通機関も利用することが出来ます。

鉄道パスの割引きタイプ

鉄道パスの購入時には、年齢によってそれぞれ割引きが適用されます。

ユース割引き

12歳から27歳までの人向けの割引きで、利用開始時に27歳であれば利用できます。
ユース割引きは2等のみに設定されることが多いですが、1等のみの「ユーレイルグローバルパス」や「ユーレイルセレクトパス」では、ユース割引きだと2等クラスの設定となり約20%の割引きになります。

シニア割引き

利用開始時点で60歳以上であればOKの割引きです。
シニア割引きのある鉄道パスは「ブリットレイルパス」や「ブリットレイル・イングランドパス」「バルカンフレキシーパス」などで、1等車のみの設定です。

セーバー割引き

2人から6人のグループに設定される割引きで、1グループで1枚の鉄道パスになります。
グループのメンバーの名前は全員バウチャーに印字されて、約20%から30%の割引きになります。

子ども割引き

国や鉄道パスの種類によって利用できる年齢は異なりますが、2ヵ国以上の移動がある場合には利用開始時に4歳から11歳であれば子ども割引きになります。
子ども割引きは基本的には大人料金の半額ですが、独自に子ども料金の設定があったり、スイスやイギリスの鉄道パスでは無料になるものもあります。

本コラムでは、主にヨーロッパをメインに鉄道パスを紹介しましたが、その他に韓国やオーストラリアなどにも鉄道パスがあります。
この方面の海外旅行を予定しているなら、どんな種類や内容なのかをインターネットで検索してみて下さい。
また、鉄道パスは国や種類によってその内容が大きく違う場合もあるので、海外旅行内容を考えて、いちばん自分に合ったものを選ぶようにしましょう。そしてその内容をしっかりと理解した上で購入することが大切です。