2019年6月に入り、ドル・円が1ドル=110円だったのが107円台の円高水準を付けました。2019年は全体的に円高の傾向でもあり、専門家の中には年末に向けて最大100円まで円高が進むと予想する人もいます。

以上は米国ドルの話しではありますが、ドルは世界で最も広く使われる「基軸通貨」であり、一般的に円相場はドルと円の交換比率を指していることからも、この円高傾向は当然海外旅行にも大きな影響を与えます。
では、普段はあまり気にすることのない人も多い円高・円安とはどういうものなのか?
その基本と海外旅行への影響のお話をしていきましょう。

円高・円安の基本

日本円を海外のお金に交換する時には、“為替レート”という比率で交換されます。
これはアメリカのドルでも、フランスやイタリアのユーロでも、中国の元でも同じことです。
円高・円安は、この“為替レート”の状態のことを言います。そして“為替レート”が円高や円安に変化する理由としては、需要と供給の関係が影響するのです。

円高とは

円高とは簡単に言えば、円の価値が上がった状態のことで、1ドルに両替えするのに必要な日本円が少なければ円高です。
これは円の人気が上がり、他国の通貨から円に交換する人が増える、つまり円の需要が多いことになるからです。

円安とは

円安とは、逆に円の価値が下がった状態のことで、1ドルに両替するのに必要な日本円が多くなれば円安です。
これは円の人気が落ちてしまい、円から他国の通貨に交換する人が多くなる…、円の供給が多いことになるからなのです。

過去から現在での“為替レート”

円高・円安の具体的な例を挙げると、2012年は1ドル=80円台だったものが、2015年には1ドル=120円に変化しています。これは円安になった、ということです。
ですが2018年には1ドル=105円~110円になっています。これは円高ですね。
直近である2019年5月には1ドル=110円でしたが、月末には円高傾向が強まり、最初にお話ししたように1ドル=107円になっています。
“為替レート”は刻々と変化するものではありますが、これには世界情勢を見据えた傾向というものがあり、2019年は円高傾向である、ということなのです。

また、円を交換する国の通貨によって“為替レート”は異なってくるので、外貨両替えする時には交換したい通貨の“為替レート”を確認することが重要になってきます。

海外旅行での円高のメリットとデメリット

円高のメリット

海外旅行に行く時には、断然円高の方がお得です!
例えば、海外で100ドルの商品を購入する場合、円高で1ドル=100円だと1万円で買えますが、円安となり1ドル=120円だと1万2000円ないと買うことは出来ません。
逆にさらに円高で1ドル=80円だと8000円でその商品を買うことが出来ます。
円高で80円の時と円安で120円の時を比べると、4000円もの差が出てくるのです。

海外に行く時には外貨両替が必要になるので、少ない円で沢山の外貨が両替できれば、それだけお得にその国でショッピングや食事などが楽しめるし、交通費やチップにしても同じことが言える、というわけです。

また、現金だけではなく、クレジットカードでも円高の方がお得です。
クレカの決済も“為替レート”によって決済されるので、円高の方がより多くの海外通貨を利用出来ます。

ただ、気をつけたいのは、海外でクレカを使った場合は、「利用日が“為替レート”の換算日にはならない」ということです。

換算日は、「クレカ決済会社が海外加盟店に利用代金の支払い処理をした日」になるので、利用日から2日~4日後となります。
当然、“為替レート”もその換算日のレートになるので、もしカード利用日に1ドル100円だったのに対して換算日に1ドル=120円と円安に急変してしまうと、そのレートで請求されるので考えていた金額よりも高い支払いが必要になります。

ここまで急変することはめったにありませんが、若干のリスクを伴うということは覚えておきましょう。また、クレカを使うと手数料が取られる、ということも忘れてはならないことですね。

円高のデメリット

円高に対してのデメリットは、ほとんどないと言っていいでしょう。
ただし、日本を出たときよりも帰国したときの方がさらに円高だった場合には、日本円に戻す時に損をしてしまうこともあり得ます。
これを避けるには、外貨両替した時の“為替レート”を覚えておいて、日本円に戻すときにはそのレートと同じか、もしくは円安になった時を見計らって行なうようにすればいいでしょう。思わぬ儲けが出る可能性だってあるかもしれません。

以上のことから、円高のほうが海外旅行にはお得です。
そして2019年は円高傾向でもあり、海外旅行に行くにはチャンスな年! と言うことが出来ます。時期によっては若干の違いはありますが、少なくとも年末まではお得に海外に行けそうではあります。
2020年が円高になるかどうかはまだ解りません。迷っているなら、思い切って行くのもアリだと思います。