パーソナルジムで腰を中心にトレーニングし、その日のうちに魂の面談を2人続けて行ったため腰痛が発生している日曜日の昼下がりです。
社員一人一人と月一面談を設けていますが、

一人目 50分
二人目 2時間40分
三人目 1時間55分
四人目 1時間45分

本気の話し合いをしているので気づくと長時間経っていることが多く、私は“魂の面談”と名付けて心して臨むように周知しています。面談の目的は個々人の状況把握やコミュニケーションが目的ですが、定期的なものですので社員からの要望や伝えたいこと聞きたいことを聞く場でもあります。私からは質問を主体に聞くよと伝えています。それは私が話すだけ話して伝えても相手の社員は「はい、はい、」と頷くだけでは到底コミュニケーションとはいえず、質問を投げかけることによって考えさせ、上の空は許されない思考停止の時間を避けています。
「質問主体で行うけど何故かわかる?」

例えばこんな投げかけで始まり、私が伝えたいことの意味ですら質問で聞くようにしますので常に質問が飛んできて思考をフル回転させておかないとなりませんので模擬面接のように感じることもあると思います。対峙していると相手の思考のレベルや仕事に対する気の持ちようが手に取るようにわかります。

しかしながら弊社の仕事内容は一般事務で求人募集し、入社してきて実際の作業内容も頭を使うというよりは手を動かし早く正確に取引を行うというのがメインです。
ある一定の時期までは黙って作業を完遂してくれたらそれでよいと考えており、会社の業績が成長さえすれば社員の成長などは考えていませんでした。

ましてやそれに自分の労力と時間とお金を投じるなどとは私の損得勘定は全く反応しなかったでしょう。しかしながら今ではコーチングコンサルタントとの出会いがきっかけで、意識を変え社員と向き合うことを曲がりなりにも行っている結果、会社は変容してきていると思います。

社長と社員とが直接向き合うのは小さい会社だからこそできるのかもしれませんがそれを出来るのにしないのは大きくても小さくても社長の驕りとも思えてきました。それが事業主と顧客の関係であっても出来るだけ本音を告げITというツールを使っても正論だけじゃない本心を発信することは目線を合わせる努力で立派な仕事であると大事にしていきたいです。

さて、社員に関しては一般事務作業を継続して出来るようになるだけでは、アルバイトでもロボットでも同じ作業ができる代わりにとって代われてしまうので、問題解決ができる“仕事”をこなせるよう日頃から訓練させ常に思考させる必要があると思っています。会社としても社員個人としても成長させるうえでは日ごろからの環境で鍛えていかなければ、私のよく言う他社でも通用する能力が身につかないと思いますし、自社でしか通用しないスキルの持ち主では雇用していてもあまり誇らしいとも思いません。

また、話の内容には経営者の私自身の本音を交え際どい事項にも触れるようにしています。経営者と労働者は同じ目的を持つ仲間でありますが、相いれない利害関係が生まれやすい労使関係でもあります。それはさながら労使交渉のように、つまりは賃金に関わることについても遠慮なく議題に上げ質問をし議論します。

「12月と2月は賞与基準に達したけど社員は休業して半分しか出社してないよね、賞与支給も半分でよい?」

例えばこのような質問をし、当然のことながら合理的な理由を添えて社員の実入りについても会社はコスト削減を徹底したいという姿勢を見せます。実際の結論は社員の回答を聞いたりその他諸々の事情を考慮して私が決定することですが、結論がどうなるかは別として交渉経験の少ない社員にとり自分たちの最大関心ごとである賃金について考えさせ、本気で悩み、回答如何では自分の利害に影響するという危機感を持たせ大事な時間にします。

私自身が人と向き合うことを真剣に考えており、無下にさせず時間を無駄にしたくないため、社員にも同様にむしろ目を背けさせないよう意図してそのようなイシューを上げることを意識しています。
また、面談の構成は3部構成になっており、

・全社員に共通する事項
・ベテランor新人に共通する事項
・個人別の事項

に分けて話をしています。
私が面談者なので当然のことながら上記のテーマは予め1か月間の内に伝えたい内容、聞きたい内容を殴り書きでも多数準備をしています。社員には1か月間の内に私に聞きたい内容があればくださいねと伝えてはいますが、ほとんどの社員は1点か、2点程度、中には特にありませんという者もいます。

それに比べて私が準備している内容の圧倒的な差は、経営者と社員での意識の違いはある意味当たり前でどこの会社でも同じではあると思いますが、あえて自分にも言い聞かせるようにそして社員にも暗示するように会社、社員個人を考えているフォーカス力を今後も常に見ているよと、示していく場でもあるのかなと思います。

成人を過ぎて社会に出て、たとえ職場であっても個人についてこれほどまでに気にかけ見られているうちは花だと個人的には思います。お互い自分にとってメリットが見いだせない相手にこれほどまでに気に掛けることはまずないでしょう。私の気持ちが少しでも伝わればと思いますがやや道は長い気がします。

店舗が近日移転するにあたって、社員の通勤時間は長くなり不便を強いることが決定的になりました。会社の大きな方針の決断は末端の社員全員の意見までを聞いて行うということはしません、仮に意見を聞くことはあってもその意見に経営判断を左右されるようでは会社の利益を最優先に考える経営の意思決定は出来ません。
したがって今回は社員には決定事項として事後発表をしました。人によっては通勤時間の延長がかなりの負担になることはわかっていたので内心申し訳ないと思い、大きなショックを与えてしまったらどうしようと心配もありました。

そこで会社としては、店舗から一定の近距離に引越しをする者に対して住宅手当を支給することにしました。
発表では、案の定驚きの声が上がりましたが、住宅手当付与の条件について早速引越しを検討し実際に引越しを決めた者が出たり、引越しはしなくとも通勤時間が長くなっても移転自体に興味を持ち、支持してくれて全員の賛同を得て無事に合意を取ることができました。

移転の発表からは数日経っている今回の面談では、引越しについても切り込みました。つまり引越しの選択について、会社からの実質昇給があり、通勤時間は短くなり、会社からの物件の紹介もあるが何故引越しをしないのかと問いました。

まず大前提として引越しはしてほしい、それは何故だと思うか。
個々から意見を聞きましたが概ね経営側の視点とはズレていませんでした。
社員の通勤時間が長くなることは遅刻の懸念や非常時駆け付けがしにくくなる点、交通費が高額になるという会社の不利益を伝えました。

そして何より社員自身にとっては通勤時間が長くなるというデメリットでしかないにも関わらず何故しないのか。
その大方の事情は初期費用がかかる経済的な理由や実家暮らしのメリットを捨てるほど大きい問題ではないという回答でした。

私も若いころ一人暮らしは慎重でしたので彼らの事情はよく分かります、回答結果も想定したものでしたが今の立場で進言できる本心を伝えました。

労使の関係であっても社会でビジネスを行っている一員である以上、リスクとリターンの相関関係の摂理からは逃れられないと思います。

会社は今回の移転に際して数千万円の投資を行い、運転資金である賃料も倍増します。その目的は売上利益の増大ですが多大なリスクを負っています。成功が保証されているわけでもなく失敗も起こり得ます。方や社員にとって給料と実費交通費は引き続き保証され、金銭的リスクは全くありません。遠方になる懸念も引越しという会社が与えた選択肢で住宅手当が支給されます。

それ以外の一人暮らしにかかる経費はもちろん個人持ちですが、その出費を恐れいているのであればリスクを取らない選択を取るということになります。期待通り会社が移転によって業績が拡大したとしましょう、多大なリスクを負ってリターンを得る会社はなんら問題なくフェアな結果ですが、その時に引越しをして運命共同体になりリスクを共に負った社員と、そうではない社員とを同じ評価、同じ賞与基準で迎えることは果たしてフェアでしょうか。

私はそうは思わないと。
営業のように数字で表れない一般事務の仕事であるから、彼らの評価者である私がどういう所を見ているか、これも質問主体で聞いた後にこう伝えました。

リスクリターン、ギブアンドテイクに集約されると思います。まず会社、またはお客様や他者に対して自分と同様かそれ以上に大事に考え、利益メリットを提供することができるか、利他の精神で仕事、生活に臨んでいるかというのは上から俯瞰してみる立場では火を見るよりも明らかに見えます。と伝えましたが、これは普段から伝えているので繰り返したという表現が正しいでしょう。

今回、経済的に決して余裕があるわけではないにも関わらず会社の方針に乗り行動を取ってくれた者に対してはリスクリターンの観点から会社は全力で支援と評価をしなければならないと実感しました。そしてすべての社員が運命共同体になってもらうにはどうしたら良いか、まだまだ条件や熱意が足りなかったのかと改めて思い、引き続き考えていこうと思いました。

魂の面談での際どい内容はまだあるのですがそれはまたの機会に。