旅行情報

あなたの旅行先の国名・都市名

ベトナム、ホーチミン

あなたが旅行に行った年月

2023年8月

あなたが旅行に行った回数

2回目

あなたの年齢、性別、職業

25歳、男性、会社員

一緒に旅行に行った人の人数

友人1人

トラブル体験をした場所

ホーチミン市内の市場近くにある両替所

トラブル内容

25歳のとき、私は初めての一人旅でベトナム・ホーチミンを訪れた。
アジアの熱気に包まれた街は、どこを歩いてもバイクのエンジン音とクラクションであふれていた。
私はベトナム料理を堪能し、ローカルマーケットを歩き回りながら、現地の雰囲気を楽しんだ。
旅の初日、空港で少額だけ両替をしたものの、思っていたより早く現金が尽きてしまい、市内の両替所で外貨両替をすることにした。
これが、私の旅における最初で最後の大きなトラブルになるとは・・・

ホーチミン市内には「高レート」を掲げた両替所が数多く並んでいる。
観光地であるドンコイ通りを歩いていると、「NO COMMISSION(手数料なし)」という看板を掲げた小さな両替所が目に留まった。
入口には親しげに声をかけてくる店員。
英語も通じそうだったので、特に疑うこともなく中へ入った。
提示されたレートは空港よりも明らかに良く、当時の私にはそれがとても魅力的に映った。

私は1万円をベトナムドンに替えるように頼み、手渡された計算メモを確認。
確かにレート通りの金額が書かれており、特に問題はないように見えた。
ところが、実際に手渡されたお札を数えてみると、なぜか計算よりも少ない。
店員に指摘すると、「それは手数料だ」と言うのだ。
店の外には「NO COMMISSION」と大きく書かれているのに、話が違うではないかと抗議したが、店員は「ここではみんなそうしている」「細かいルールがある」と言い張るばかり。
しかも、周囲の視線も集まり始め、観光客である私は不安になり、結局それ以上強く言えずに店を後にした。

後から冷静に計算してみると、実際に受け取った額は、手数料分として約10%も差し引かれていた。
つまり、空港で両替したときよりもかなり損をしていたのだ。
まさに外貨両替トラブルの典型例といえる。
現地の物価を考えると、これはかなり痛い損失だった。
私はしばらくそのことが頭から離れず、せっかくの観光も心から楽しめなくなってしまった。

このとき痛感したのは、海外では「言葉での約束」よりも「証拠」や「確認」が何よりも大事だということだ。
日本の感覚で「看板に“手数料なし”と書いてあるから安心」と思ってしまったのが最大の落とし穴だった。
実際、旅行後に調べてみると、東南アジアの一部地域では「NO COMMISSION」という表記があっても、実際はレートを操作して実質的な手数料を取る店が多いという。
つまり、看板の文言自体が信用できないことがあるのだ。

また、両替所の中には、偽札を混ぜる悪質なケースもあるらしい。
私が利用した店ではそれはなかったが、別の観光客の口コミを読むと、「高額紙幣の一部が偽物だった」「店員が札をすり替えた」といった被害報告も多く見かけた。
私が遭遇したトラブルはまだ軽い方だったのかもしれない。
そう考えると、ゾッとした。

この経験を通して学んだ教訓は明確だ。
まず第一に、外貨両替は空港や大手銀行など、信頼性の高い場所を選ぶこと。
街中の小さな両替所はレートが良く見えても、実際には手数料や不正が隠れている場合がある。
特に「手数料無料」を強調しているところほど、裏で何かしらのカラクリがあることが多い。
多少レートが悪くても、安全性を優先すべきだと心から思う。

第二に、両替の前に必ず計算を自分でも行うこと。
スマホの電卓を使い、渡す金額と受け取るべき金額をその場で明確にしておくと、相手もごまかしにくくなる。
また、紙幣を受け取ったらその場でしっかり数えることも大切だ。
焦ってそのまま財布にしまうと、あとから不足していても証明できない。
海外では、「自己責任で守る」という意識を常に持っておく必要がある。

さらに、現地通貨の価値感覚を持っておくことも重要だ。
私の場合、ベトナムドンの桁が多すぎて慣れておらず、数字の感覚が麻痺していた。
これも冷静な判断を鈍らせた一因だと思う。
旅に出る前に、現地通貨のレートをしっかり覚えておくことは、外貨両替トラブルを防ぐうえでの最低限の準備といえる。

あのときの損失は金額的には数千円程度だったが、旅の楽しさを奪われたという意味では、金額以上のダメージだった。
今思えば、焦らず空港で少し多めに両替しておけば良かったのだ。
旅慣れた今では、現地に到着したらまず空港で安全な場所で両替し、市内ではクレジットカードや電子決済を使うようにしている。
ベトナムのように現金文化が強い国でも、主要施設ではカードが使えることが多い。
現金は最低限にしておくのが安心だ。

旅は本来、自由で楽しいものだ。
しかし、ほんの少しの油断が、思わぬトラブルを招くことがある。
特に外貨両替は観光客が狙われやすいポイントのひとつだ。
両替所の明るい笑顔の裏に、巧妙な仕掛けが隠れていることもある。
だからこそ、自分の身を守るためには「慎重すぎるくらいでちょうどいい」と思う。
私の失敗談が、これから海外へ行く誰かの役に立てば幸いだ。

トラブルに巻き込まれないためにするべきだった行動

街中の両替所ではなく、空港や銀行など信頼できる場所で両替すべきでした。
また、両替前に「いくら渡して、いくら受け取るのか」を紙に書いて確認しておけば、誤魔化されずに済んだと思います。