旅行情報

あなたの旅行先の国名・都市名

中国、上海

あなたが旅行に行った年月

2025年4月

あなたが旅行に行った回数

5回目

あなたの年齢、性別、職業

34歳、男性、メーカー営業職

一緒に旅行に行った人の人数

友人1人と計2人

トラブル体験をした場所

上海の観光地、南京東路近くの銀行付近

トラブル内容

これは2025年4月、久しぶりの長期休暇を利用して、友人と二人で中国の上海へ旅行に行った時の話です。
最新のテクノロジーと歴史的な街並みが融合する上海はずっと憧れの場所でした。

中国は世界でも有数のキャッシュレス社会であり、AlipayやWeChat Payが必須であることは事前にリサーチ済み。
私たちも日本でアプリの設定を済ませて渡航したのですが、「念のため現金も少し持っておいた方が安心だろう」という日本人的な感覚が、今回のトラブルの引き金となってしまいました。

上海に到着した初日、空港での両替所が混雑していたため、「市内の銀行で替えればいいか」と安易に考えてそのまま中心部へ向かいました。
ホテルにチェックインした後、有名な繁華街である南京東路(ナンジン・ドンルー)へ。
春の上海は気候も良く、多くの観光客で賑わっていました。

小腹が空いたので屋台で何か買おうとしたのですが、私が設定したスマホ決済のアプリが通信エラーでうまく反応しませんでした。
やはり現金が必要だと感じ、近くにあった大手銀行へ向かうことに。
しかし、平日の午後だったにもかかわらず銀行の窓口は長蛇の列・・・

整理券を取ろうとしていたその時です。

「両替ですか?今は2時間待ちですよ」
流暢な英語、そして片言の日本語を交えて話しかけてくる40代くらいの男性。
身なりはしっかりとしたスーツ姿で、銀行の職員か関係者のような雰囲気を醸し出していました。

彼は、「私は公認の両替商です。
この銀行のレートよりも手数料なしで、もっと良いレートで日本円を両替できますよ」と持ち掛けてきました。

普段なら怪しんで無視するのですが、アプリが使えない焦りと、銀行の待ち時間の長さにうんざりしていた私たちは、彼の話を少し聞いてしまいました。

彼が提示した電卓の数字は、確かに空港や銀行の公定レートよりもかなりお得でした。
「ここで立ち話もなんだから、そこの路地を入った静かな場所でやりましょう」
そう言われ、銀行のすぐ横の少し奥まったスペースへ移動しました。
人通りはゼロではありませんが、表通りよりは目立たない場所です。
私は3万円分の日本円を彼に渡しました。
彼は慣れた手つきで人民元(元)の札束を数え、私に渡してきました。

私はその場で枚数を確認。
確かに金額は合っています。

「よし、問題ない」と思い財布にしまおうとしたその瞬間、彼は
「あ、ちょっと待って。その中に旧紙幣が混ざっていたかもしれない。確認させてくれ」
と言い、一度私が受け取った札束を回収しました。

彼はパラパラと再度お札を確認するふりをして、
「ああ、大丈夫でした。失礼しました」
とすぐに札束を返してくれ笑顔で握手をして、彼は足早に去っていきました。
私は「親切な人で良かった、良いレートで外貨両替できた」と満足し、その場を離れました。

トラブルが発覚したのはその日の夜です。

レストランで支払いをしようと、先ほど両替した現金を出した時でした。
店員が怪訝な顔をして、お札透かしたり機械に通したりし始めたのです。
そして店員は厳しい口調で言いました。
「このお札は偽物です。それに、枚数が足りませんよ」
頭が真っ白になりました。
財布の中身を確認すると、3万円分あるはずの人民元が、なぜか大幅に減っており、しかも一番上にあった数枚以外は、手触りの違う偽札(あるいは極端に額面の低い紙幣)にすり替わっていたのです。

これは「マジック・カウンティング(抜き取り詐欺)」と呼ばれる手口でした。

最初に正しい金額を私に確認させて安心させた後、「旧紙幣の確認」などと言いがかりをつけて一度回収し、その一瞬の隙に、手品のような手つきで本物の紙幣を抜き取り、偽札の束とすり替えたのです。
結局、私たちは手持ちのクレジットカードが使える店を探し回る羽目になり、警察に届け出る時間も気力もなく、泣き寝入りすることになりました。

3万円という金額は勉強代として諦めるには大きすぎましたし、何より「自分は大丈夫」と過信して路上での取引に応じた自分が情けなくて、その後の旅行を心から楽しむことができませんでした。
外貨両替でのトラブルは、レートのごまかしだけではありません。
このような巧妙なすり替え詐欺が、2025年の現在でも形を変えて残っていることに驚きました。
キャッシュレスが進んでいるからこそ、現金を欲しがる観光客は格好のターゲットなのだと痛感しました。

トラブルに巻き込まれないためにするべきだった行動

見知らぬ人の誘いには乗らず、銀行や空港など正規の場所で両替するべきだった