中国は元来、圧倒的な低コストで世界の工場と揶揄されるほどの輸出大国でした。そのため貿易黒字の積み上げが大変なものになり、市場原理の理論からすると中国の通貨人民元が高くならないとその為替水準の均衡を保つことが難しくなるといわれていましたが、政府の為替政策で基軸通貨である米ドルに対して頑なに固定相場制を貫き通しています。
現在の中国は外需も内需も需要過多のインフレ状態であると報道されていますが、特に不動産の値上がりは大変急激なものがあります。これは不動産に対する需要とその材料となる資材等の高騰で一般庶民には手の出せないほどの高値になっております。しかも実需である居住用ではなく値上がり後の転売差益を目論む投機目的の購買者が多く価格上昇に歯止めがかからない状態です。前述のとおり中国の為替政策である元相場には対米ドルでは同一レートが適用されるペッグ固定相場制が採用され対ドルに対しては常にほぼ一定の交換レートであることにより、特にアメリカ向け輸出が十分採算に乗るレベルに保たれています。アメリカ側の産業にとっては中国元が安いので巨大な中国市場に価格競争力を持って参入することが大変難しくなっており採算を取ること自体が至難の業でしょう。